古文書講座「上級コース」の古文書『骨董集』ご紹介
今回は「上級コース」のテキスト、
『骨董集』をご紹介します。
歴史好きであれば知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
著者は江戸時代後期を代表する作家であり浮世絵師、
さらに煙草入れの販売も手掛けていたというマルチな才能を持つ、
山東京伝(さんとうきょうでん)です。
その山東京伝晩年の代表作で、
考証随筆というジャンルにおいて最も有名なこの古文書は、
日本古来から続くさまざまな風習やモノの由来を
京伝自身が多くの文献を調査して書き上げた、
簡単に言えば論文集です。
(古いものを集めたので『骨董集』と言います)
本人も「労力ばかりかかって金にならない」とボヤいていたように、
好きじゃなければ到底できない仕事が伺えますし、
これを読むのも相当なエネルギーを要します。
くずし字の判読はさほど難しくはないのですが
論文形式というのが最大の特徴ですから、
理解するまでに時間がかかり、そして飽きます(笑)。
さらに全4巻と量も膨大なため、この『骨董集』に関しては
読みたい項目を自由に選択できるようにしたいと思います。
骨董集目次.pdfをご覧いただいて、お好きなものをお選びください。
個人的におススメなのは、
上の巻(第1巻)「銭湯風呂のはじめ」「風呂ふんどし」「行水船居風呂船」
「石榴風呂・鏡磨」「伊勢風呂吹」の風呂シリーズ。
上の巻(第1巻)は全体が読みやすくてそこそこ面白いので
この一冊は全部読んでも損はありません。
また、下の巻末(第4巻)の「見世棚」(トップ画像)もおススメ。
中の巻(第2巻)からマニア度が徐々に高くなり、
下の巻本(第3巻)はひな人形づくし、
下の巻末(第4巻)ともなるとかなり行間が狭く字も小さくなるので
読むのがとてもしんどいです。
山東京伝の名前をぜひとも多くの方に知ってもらいたいので
悩みに悩んでテキストに追加することにしましたが、
万人受けする書き方をした書物ではないため、
まずは一項目だけどれか試してみるのが良いかと思います。
難易度は上級コースの中くらいの位置づけになります。