古文書講座「上級コース」の古文書『文のひな形』ご紹介
今回は「上級コース」のテキスト、
『文のひな形』をご紹介します。
古文書くらぶでは、
「大衆本を読んで、昔の日本人のリアルな生活を知る」
ということがコンセプトにありますので、
誰かの手紙や記録といった、人に見せるために書かれたものではないもの、
つまりほぼ研究者の領域といってもいいような、
読むのが大変困難な古文書は扱っていませんが、
この『文のひな形』は「ラブレターの書き方(&返事)見本集」ですので、
江戸後期~明治初期の人々が実際に使っていた文字になり、
いわば古文書の王道のような字体です。
その内容は
・初恋の文(&返事)
・娘に送る文(&返事)
・浅草で見初めた文(&返事)
・芸者に送る文(&返事)
など、男性が女性に送る手紙の見本(ひな形)がまず書かれており、
それに対しての女性の返事の書き方がセットになっています。
題材としては、恋愛のリアルな様子が手に取るようにわかる
どなたにとっても大変魅力的な古文書です。
しかし、いかんせん読みこなすのに苦労しますので、読む人を選びます。
(一応ルビはついてますが・・・)
こうした手紙特有の、
かな書道のような書き方を「女筆(にょひつ)」と言いまして、
男性は使わないかと思いきや、ラブレターに限り
男性もこうした書き方をしたようです。
現代でもかな書道をたしなむ人は、ほぼ100%女性という傾向があり、
やはり女性に好まれる傾向が非常に高い分野です。
実は私、書道歴25年で合計3人の師匠についていましたが、
どこでもかな書道の評価が低かったため、この女筆に大変な苦手意識があるのです。
(逆に得意なのが漢字全般です)
ですから、テキストとして女筆のものを加えることに葛藤がありましたが、
女性の中にはこうした文を好む方もいらっしゃるだろうと思われること、
そして、恋愛に関する古文書といえば、
なんといっても手紙が一番雰囲気を感じられるということで、
追加することにいたしました。
ただ、変体仮名もくずし字も、ほぼ習得できた方向けの書物ですので、
上級コースの中でも最上に位置するレベルになります。
ぜひこれを目標設定としていただくのもよろしいかもしれませんね。