古文書講座「上級コース」の古文書『和字功過自知録』ご紹介
今回は「上級コース」のテキスト、
『和字功過自知録(わじこうかじちろく)』をご紹介します。
これは明の『功過自知録』を日本語に改めたもので、
人のあらゆる行いの中で、何が功に値し何が罪となるかを、
すべて点数化して示したものです。
例えば、良い行いでは
・人の一命を救う~百善
・鳥獣に食を施す~ニ食一善
・墓のなき人に墓地を施して葬らしむ~一人三十善
とあるのに対し、悪い行いは
・人の金銀を借りて返さず~百銭一過
・良き家柄の娘を犯す~四十過
・伽藍殿堂の上にて魚肉を食らう~十過
といった具合です。
善悪は簡単に判別できるのですが、それを改めて文章化し、
さらにはそれが何点なのかが示されていると、
超マジメな内容がなんだか妙に可笑しく感じるものです。
さらに本文中にいくつかある挿絵が秀逸。
ただ、ぼ~っと眺めているだけでも
当時の人々の生活が垣間見れて楽しいものですが、
細かい文字を頑張って読むと、
絵に関係する意味がよくわかって面白さが倍増します。
古文書には説教くさい道徳的な書物が非常に多い中、
これはそれを楽しんで受け入れることのできる工夫がされていて、
なかなかの良書ではないでしょうか。
くずし字もそれほど難しくないので、
上級コースの下あたりに位置する万人向けの古文書です。