古文書講座「中級コース」の古文書『隅田川往来』ご紹介
今回は「中級コース」のテキスト、
『隅田川往来』をご紹介します。
往来物の中では
すでにご紹介ずみの『龍田詣』を西の横綱とすれば、
東の横綱はこの『隅田川往来』というほど有名なこの古文書。
中級コースの往来物(江戸時代の寺子屋の教科書)には、
地名が多く登場するものを積極的に採用していますが、
それは固有名詞によって読む楽しさを実感しやすいためです。
『龍田詣』が実際そうであったように、
当然この『隅田川往来』もそうだろうと思い込んでおりましたが、
期待に反して出てくる地名は知らないものばかり。
個人的な知識がないためもあるのでしょうが
(そうはいっても墨田区は何度か見て回ったのですが・・)、
今はもうなくなってしまったものもありますし、
現在の隅田川周辺の観光名所はほぼ出てこない印象です。
文章は手紙形式になっていて、ひらがなは多いものの、
難解な言葉遣いもある上に、紛らわしい字多数。
そして、くずし字がたいへん読みにくい書体になっています。
これらすべてを考慮すると、限りなく上級者向けで、
江戸の地理に興味のある方やこの近くにお住いの方など、
楽しんで取り組める方におススメしたいと思います。全5回分。