古文書講座「中級コース」の古文書『瓜生氏日本国尽8西海道編』ご紹介
今回は「中級コース」のテキスト、
『瓜生氏日本国尽』から、西海道編をご紹介します。
全8巻中の8巻目、これが最後になりますので
ご想像の通り九州と沖縄の紹介です。
おなじみの九州の地図はこちら。
筑前・筑後・豊前・豊後・肥前・肥後の6か国は
名前に「前後」が付いている3セット。
それ以外は日向・大隅・薩摩。
ちなみにこれらの地名は行政区分であって藩ではありません。
ですから、大隅は大隅国(おおすみのくに)という行政区分で、
薩摩藩の領有でした。
同様に日向も延岡藩の領有になります。
ややこしいですね。
そしてこの第8巻の最後に離島の記述があり、
人口について壱岐25,000人、対馬13,000人、
そして沖縄(琉球)は165,900人と記載されています。
これらの現在(2023)の人口は
壱岐25,000人、対馬28,000人、沖縄県1,460,000人です。
この『瓜生氏日本国尽』の発行は明治5年(1872)で、
この年の日本の人口は348万人。
つまり、この150年の間に日本の人口は35倍増えているのに対し、
壱岐は驚異の変動なし、対馬は2倍、沖縄は9倍なのです。
沖縄の9倍をどう見るかは難しいところですが、
国境ギリギリの壱岐・対馬はかろうじて人口を維持しているような感じでしょうか。
そんなことにもふと考えを巡らせてしまうような
昔の日本めぐり西海道編は、
難しいくずし字や難解な語彙もない、初心者向けの題材です。
全23回になります。