古文書講座「中級コース」の古文書『龍田詣』ご紹介
今回は「中級コース」のテキスト、
『龍田詣』をご紹介します。
タイトルには「~往来」とは書かれていないものの、
これは紛れもなく往来物のひとつです。
龍田という名称に馴染みのある方は、
関西の方か百人一首に触れたことのある方ではないでしょうか。
「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 龍田の川の錦なりけり」
にあるように、龍田とは龍田川に代表されるように
奈良県生駒郡斑鳩町の地名のこと。
しかしここでひとつ注意点があり、この地域には
龍田大社と龍田神社の二つが存在するのです。
この古文書の本文には、明確に神社名が記載されておらず、
表紙裏の地図には「龍田本宮」とありますが、これではよくわかりません。
しかし、その上の注釈に
「龍田明神は龍田比古・龍田比女の二神を祀る也」
とあるため、龍田神社のほうだと判明します。
現在では規模としては龍田大社のほうが大きく、
龍田神社は公式HPもひっそりしたもので
この往来物にある「龍田詣」の詳細を確認しようにも
さっぱりわからないほど小さな神社のようでした。
そのような背景のある「龍田詣」。
本文は奈良県内の由緒ある寺院を訪ね大阪へ抜け、
淀川の流れに乗って京都へ向かうという行程で進みます。
ページ数は少ないながらも、候やレ点などが登場し、
古文書くらぶでは扱わないコッテコテの最高難易度な、
これぞ古文書的雰囲気を効率よく体験できるものとなっています。
奈良に興味のない方はあまり目が向かないかもしれませんが、
地図を見ながら進めたいと思っていますので、
関西や地理・歴史にご興味のある方、
また、そうでない方も、全5回分と短いので
ぜひともトライしていただきたい一冊です。