古文書講座「中級コース」の古文書『萬国往来』ご紹介
今回は「中級コース」のテキスト、
『萬国往来』をご紹介します。
初級コースでは、初心者の方が読みやすいひらがなを多用した古文書を使って、
変体仮名に慣れることを目標としていましたが、
中級コースでは、往来物(おうらいもの)といわれる江戸時代の教科書を使い、
多種多様な漢字のくずし方をマスターしていきます。
往来物の最大の特徴は、なんといっても「字の美しさ」。
それは、寺子屋で学ぶ子どもたちが、
言葉とともに漢字を学習するためのものだったからです。
そのため、読み物としては正直言って面白くないものも
中にはあったりするのですが、
古文書くらぶでは、これはなかなか面白いと思える往来物を厳選しました。
この『萬国往来』は、一言でいうと世界一周の旅です。
船で日本を出港して、西回りでアジア・アフリカ・ヨーロッパ、
そして大西洋を渡って南北アメリカを廻り、
再び日本に帰ってくるという行程で、
各国の名前と漢字、そして世界とはどういうものなのかを
紹介していく形式になっています。
ですから自分も旅をしているように楽しんで
読み進めていくことができるのです。
特に国名がすべて漢字に置き換えられているので(例:亜米利加)、
ルビも同時に読みながら、これらが現在のどの国なのかを
考えていくのはとても楽しいものです。
漢字のくずし方を覚えていくのはとても大変な作業ですが、
固有名詞を多用している往来物では、
それらに助けられて比較的気軽に取り組むことができます。
中級コースイチオシの古文書、全10回分になります。